素敵な王子様の育てかた。
そうだわ、このまま静かに扉が開くのを待つってのはどう!?
きっと王子は人がいなくなる頃合いを見計らって、このワゴンを部屋に入れるのよね。
だからなるべく物音をさせないようにして、静かに待っていれば……。
私はその場で小さく壁に寄りかかりながら小さくしゃがみ、その扉が開くのを待つ。
幸い私には王子の侍女としての仕事以外、頼まれた仕事はないから時間はたっぷりとある。
必ずこの扉は開かれる!
私は待った。
ひたすらに待った。
しゃがんだまま身動きひとつせず、扉を見つめて開くのを。
時はゆっくりと、しかし確実に過ぎていく。
開け、この扉よ開け。
心の中でそう繰り返しながら唱えていた。
……やがて、なにかのものが動くような音が聞こえた。
その音は徐々に扉へと近づいて大きくなっていく。
ゴクリと息を呑んだ。
ついに、ついにこの扉が開かれる時が来るんだわ……!