素敵な王子様の育てかた。
……とはいえ、ここで辞めてしまっては、これまでの侍女たちとなにも変わらない。
周りから『やっぱりね』、と言われるのもどうも癪に障るし、なにより私と碌に接することもせずに、拒否されるのが気に入らない。
どうせなら少し侍女として使ってみてから、いらないって言ってよね!
それならば、王妃だって納得するでしょう!?
本当は投げ出してしまいたいところだが、引き受けてしまった以上、自分から逃げることは性分に合わないようだ。
イライラとした気持ちを抱えながら、休憩室へ戻ることにする。
少なくとも今日は私がここにいる以上、この扉が開くことはないだろう。
今回のことで王子はより警戒するだろうし、今日はもう私ができることはないように思うから。