素敵な王子様の育てかた。
そしてあっという間に日は過ぎ、最終日。
仕事を代わって貰った使用人からこれまでの経過を聞けば、王子は相変わらず部屋の外に出てくることはなく、なんら変化のない生活を送っているとのことだった。
けれど食事を持っていき声をかけたあと、それに対しての返事はないものの、物音は聞こえるそうで、使用人がその場を離れた直後に、背から扉を開ける音が聞こえ、振り向くと、すでにそこに置かれたワゴンは無くなっているそうだ。
それを聞いて確信する。
王子は明らかに安心し、油断している……!
やはり念には念を、仕事を別な人に代わってもらって正解だったわ。
もう少し時間がかかるかと思っていたけれど、今までの侍女が諦めが早かったからか、今回も同じように王子は考えているのだろう、早めに私が辞めたと思い込んでいるみたいね。
残念でした、王子。
私は諦めが悪い女なの。
さてと。
そろそろいい頃合いだろう。
次の段階に進むとしましょうか。