素敵な王子様の育てかた。

――翌日。

これまで私の仕事を代わってしてくれた使用人と共に、料理の乗ったワゴンを押して王子の部屋へと向かう。

使用人には、『食事のお時間です』と言ってもらって、王子に最後まで油断させる作戦だ。

王子はいつものようにその声を聞いたら、この扉を開けるだろう。


王妃様には"とことんやって構わない"とお墨付きを頂いているから、遠慮なんてしないわ。


しっかりと王子に物申す!
そして、この扉の先へと進むの!



そんな思いを胸に、私たちは王子の部屋へと着いた。
相変わらずどんよりとした空気は変わらない。


扉を叩き、使用人に声をかけてもらう。


「王子、食事のご用意ができました」


使用人の言うとおり、声かけのあと物音が部屋の中から聞こえてきた。

そのまま使用人にはその場から去ってもらい、私はひとり息を殺しながら扉が開くのを待つ。


……さあ来い、ライト王子!

容赦なくいくわよ!!


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