素敵な王子様の育てかた。
やがて、扉は音を立てて開かれた。
その姿に気づいた王子は、身体を大きく跳ねらせ驚きを露わにする。
「お、お前っ、まだ辞めてなかったのかっ……!?」
「おはようございます、王子。残念でしたね、油断していましたでしょう?」
私はありったけの笑みを顔に浮かべる。
無理に口角を上げ過ぎて、引き攣ったようになってしまったけれど。
「何回も言っているだろう、俺は侍女なんて必要ないんだ。いいかげんにしてくれ」
王子は不機嫌そうな声を漏らし、扉を閉めようとした。
だが、すかさず扉の端をガッと手で押さえる。