素敵な王子様の育てかた。
「なっ……!」
よもや私が、そんな突拍子もない行動をするとは思わなかったのだろう。
驚きと動揺で、王子の顔が真っ赤に紅葉する。
そんな王子を見つめては、私はまたニッと笑いを見せた。
「無駄ですわよ、王子。もう遠慮は致しません。王妃様にも了承を貰っておりますし、これからはなにがなんでも身の回りの世話をやらせて頂きますっ!」
「今すぐ放せっ!王子の命令だぞ!?逆らったらどうなるのか分かっているのか!?」
王子の言葉を、私は鼻で笑った。
なにをいまさら。
さんざん私を避けていた人間が偉そうに。
「これまで王子の職務を放棄していたくせに、このときばかり王子の権限を使うなんて、聞いて呆れますわ。王子が引きこもるためだけの命令を、誰が聞くとお思いです?なんの得にもならないのに」