素敵な王子様の育てかた。

「それに王子、私はここの部屋の鍵を預かっておりますの。これは王妃様から渡されたものですわ。私が言いたいことは分かりますわよね?この鍵を持っているという意味を」


片手で扉を抑えながら、もう片方の手でスカート部分にあるポケットに入れていた部屋の鍵を取り出し、王子に見せる。

それを見た王子は、また驚いたような反応をみせた。



「母がそれを……」


そしてそう小さく呟くと、扉から手を放した。



「ようやくお分かりになられたようですね」

「……」


王子は扉を開いたまま、部屋の中に戻る。


閉めないということは、きっと入ってもいいということなのだろう。

と、勝手に解釈して、私はワゴンと共に部屋の中へと入った。

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