素敵な王子様の育てかた。

「で、お話というのは?」

「まずそこに座りなさい」

扉の前で立ち、話を切り出した私に、父はソファーへと座るように促す。

座って話すと長くなってしまうから、本当は立って簡潔に話して欲しいと思ったが、父にそう言われてしまったら断ることもできない。

仕方なく、言われた通りソファーに座った。


「突然呼んでしまってすまなかったね。今日ここに来てもらったのは、ララにとってとても重要な話があったからだ」


父は私の向かいに置かれた一人用のソファーに腰掛けると、そう告げた。


重要な話?
……まさか問答無用で嫁ぎ先を決めたんじゃ!?と少し身構える。


「……なんでしょう?」

「案ずるな。お前が思うような非道な話ではない」


父はそんな私に気づいていたようで、笑いながら言葉を返した。

安心と気づかれた恥ずかしさを隠すように、私は咳払いする。


「で、ではどういうお話で?」

「実はな、お前に侍女として城に上がって貰いたいとの話が出ている」


――侍女?

思いもよらない話に、キョトンと目を丸くした。
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