素敵な王子様の育てかた。


――2日後。

城内は、夜に行われる夜会の準備で慌ただしくなっていた。

城での催しは定期的に開かれ、その度に賑やかな音楽と参加者の明るい声が漏れ聞こえてくる。

しかし案の定、王子は参加などせず部屋の中で篭るだけだ。


城内でどんな催しが行われようと、王子の生活はなにも変わらない。

寝て、食べて、虚ろに時が過ぎるのを待つ。

それこそ王子の時間の使い方は、無駄そのものだった。



……王子は、こんな生活を続けていて楽しいのだろうか。

なにも興味を示さない、刺激もない。
無だけが広がる世界に漂ったまま、自堕落な時間を過ごす。

本人はそんな世界から抜け出したいと考えたことはないのだろうか?

私だったら我慢できない。
穏やかな生活を望むにしても、なにもない生活は苦痛以外のなにものでもないだろう。


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