素敵な王子様の育てかた。

「へ、へえ。王子は本を読まれるのですね」

「って言っても歴史書や貿易に関するような本だけどね。母のような夢物語を読む趣味はまったくないよ」


その言い草に少しムッとしてしまったが、しかしそんな難しい本を読むということは、こんな生活を送っていても、どこかしらで次期国王としての責任を感じているのではないかと思った。

「ちゃんと勉強なさられているではないですか」

「でも、俺に国王は向いていないんだ。国王に相応しいのは弟のリフィトだよ。俺なんてなんの役にも立たない」


王子は自嘲しながら答える。

たしかに誰が見ても、人当たりもよく社交的なリフィト王子が、国王になるのが相応しいと感じるだろう。

しかしそれは現時点では、の話だ。

王子がこのまま部屋に篭っている以上は、その考えは変わらない。

けれど、それを打開しようと思うようになれば……?




「では、王子。変わりたいとは思いませんか?この生活から抜け出したいと考えることはないのですか?」

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