素敵な王子様の育てかた。
単刀直入に、王子に問う。

髪で隠れているため表情は見えないが、王子は驚きの反応を見せた。

「変わりたい……?」

「ええ。今の自分ではない、本来の自分に戻りたいと思いませんの?」


きっと、今の王子の姿は本物ではない。

根暗な部分はあるものの、基本的には彼自身もそこまで殻に篭るような人間ではないと思った。


ただ卑屈になっているだけ。

その原因さえ取り除いてしまえば、王子も今の生活から抜け出せるはず。

でなければ、私とこうやって普通になんて話せない。

今の王子が本当の姿なのだとしたら、きっと意地でも声なんてかけることはしないだろうし、私の質問にも答えてくれることはないだろう。


「それは……。無理だ、どうにもならない」

王子は首を横に振り、そう答える。

「そんなこと、やってみなくては分かりませんわ」

そう、最初から諦めていてはなにも始まらない。


動くことが大事。

一歩を踏み出さなければ、前に進めないのだから。

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