素敵な王子様の育てかた。
そう。
この国の王妃様は、王妃になる前は侯爵家の娘でありながら、作家として活動していたお方だった。
物語が面白いと巷の噂を聞きつけた国王が王妃様を城へと呼びつけ、そこで一目惚れ。
情熱的なアタックののち、国王様と結婚した、という経緯がある。
王妃様となった今でも作家活動は止めず、本として国で売り出されており、私は新作が出されるたびに必ず買っては、王妃様に感想の手紙を書くほど、夢中になっているひとりである。
けれど送った手紙に対し城から来る返事の手紙は、いつも差し障りのない定型文のみのものだったし、私以外にも王妃様のファンである人間はごまんといたから、いくら貴族といえど私なんて王妃様が知っているわけがないと思っていたけれど……。
「まさか、王妃様が私を存じていたとは……」
信じられないという気持ちと、知ってくれていたことへの喜びに、手が震えてしまう。
飽きずに手紙を出し続けて良かった!と思った。
……けれど。
それと今回のことで、なんの関係があるのだろう?