素敵な王子様の育てかた。
言葉の通り……。
つまり、私が考えていたようなことで合っていると思っていいのよね。


「そうですか」

「うん。そうだよ」


なぜか妙に話が噛み合っていないような気がするのは、私だけだろうか。

かといってそれをさらに問う暇もなく、急いでベッドメイクを済ますと朝食を取りに部屋を出た。


食堂まで向かう最中、頭の中で先程のことを思い返したが、やっぱり違和感は拭えなかった。

しかし、前日の王子の気持ちの変化が嘘ではなかったことに、ひとまず安心する。


とりあえず、今は王子の身なりを綺麗にすることに集中せねば。

考えるのは後でもいい。

今日はより忙しくなる。

王子が朝食を摂っている間に湯浴みができるように準備をし、理容師を迎える支度もして、さらには昼食の用意もあるし。

つまり色々と考える時間などないわけだ。


「まずは行動よ、行動!」


そう自分に言い聞かせて、朝食の乗ったワゴンを押して部屋へと戻った。


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