素敵な王子様の育てかた。
――午後。
部屋に理容師のルピスが、セリスに案内されてやってきた。
年は30を過ぎたくらいといったところだろうか。
理容師なだけあって、両サイドを刈り上げて真ん中の髪をつんと立たせ、この国では少し変わった髪型をしている。
ルピスは王子を見るなり、満面の笑みを浮かべる。
「これはライト王子。何年振りになりましょうか、随分と大きくなられて。またこの機会を与えられ、私はとても嬉しゅう思いますよ」
「久しぶりだね、ルピス。思い切ってやってくれるかい?」
「ええ、当たり前ですとも。お顔の髭も綺麗に致しましょう。美しい顔がそれでは台無しですからね」
そんなやり取りを、部屋の出口の近くで待機しながら聞いていると、案内をし終えたセリスに呼ばれる。
「ララ、王妃様から応接室に来るようにとの伝言よ」
「王妃様が?」
「ええ。あなたがここに戻るまでは私が代わりに待機しておくから、早く行ってらして。王妃様を待たせては失礼だし」
「ええ、分かったわ。ありがとう」