王子様とハナコさんと鼓星
「それで、華子って明日は仕事?」
「あ、はい」
「それなら、夜に俺の両親に会って欲しいんだ。針谷、夜にある例の招宴は支配人と2人で行って来てよ。前にあのパーティーに行きたいって言ってたからさ」
「よろしいのですか?例の海外ブランドのデザイナーが参加されると聞いてウェディングプランの発展のため、デザイナー専属契約をと、気合を入れていましたが」
「まぁ、それは暫く様子見をしようかと思って。来月、海外支店の方に行く時に誘われている晩餐会にも参加するってマネージャーが言ってたから」
「そうですか、かしこまりました」
「あと、華子のご両親にも会いたいんだけど、いつならいいかな?」
話を振られ、今月のシフトを思い出す。
「そうですね。明後日なら、お仕事も休みなので…両親は夜なら家にいるかと思います」
(なんか、本格的な話になってきた)
「確か地元は北陸地方って言ってたね。午後のスケジュール空けられる?」
「明後日の午後ですと、来客予定が1件とカフェとレストランから新メニューの試食会、後は国内各店舗とのテレビ会議が2件です。グループ内の事が殆どですので、こちらで調整致します」
頭の中に全て入っているのか何も見ないでスラスラと話す。
秘書って目の前でこういう場面を初めて生で見たけど、凄いんだ。社長が優秀って褒めるだけある。
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