王子様とハナコさんと鼓星


そして、残された時間でご飯を食べ仕事が終わると急いで寮に戻った。

ご飯を食べてからお風呂に入り髪の毛を乾かし終わった頃に桜が部屋を訪れて来た。


「と、言うことなんです」

帰宅時にコンビニでお酒とお菓子を仕入れて2人でそれを広げ飲みながら結婚に至る流れを元彼の事を含めて全て話した。


話し終わると桜はお酒をテーブルに置いて、頬を膨らませる。


「なるほどね。なんて言うか、とりあえず…結婚おめでとうって言ってもいいのかな?」

「それ、微妙なところだよね」

「うん。でも、おめでたい事だよ。そっか…そう言う事だったんだね。だけど、華子が退寮すると寂しくなるな。こうやって飲めなくなっちゃうね」


「うん…暫くは無理かもしれない」

桜と同じようにお酒をテーブルに置いて、両脚を抱えながら息を大きく履いて膝の上に頬をのせる。


「ん?大丈夫?もしかして今更結婚に怖気付いて来たの?」


肩に手を回し桜が数回背中を撫でる。フワッと香る香水の匂い。一ノ瀬くんとお揃いのもの。


「不安は不安だよ。でもね、勢いだけど覚悟を決めたから結婚に対して不安はないの」


「もしかして、聡君のこと?」

「うん。社長には元彼の事とかは話してない。話すとなるとあの事も話さないといけなくなるからさ。5日後の待ち合わせどうしようって」


服の上から腕を握りしめる。赤みや腫れはもうないけれど、うっすらとかさぶたができた。


あの時に社長がくれた薬のおかげだと思う。

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