王子様とハナコさんと鼓星
「桜、私がホテルとかに連れて行かれないように一緒に来てくれないかな?」
「私はいいけど…でも、これから結婚するなら私より男性の社長が良いと思うけど。結婚する人って言えば諦めてくれるだろうし」
「そんな事を頼める仲じゃないよ…」
「いや、頼みにくいかもしれないけどさ…」
背中から手を離して桜は考え込む。負けじと彼女を見つめ両手を合わせて無言で見つめる。
すると、ため息をこぼしながらゆっくりと首を振った。
「社長に頼んだ方がいいと思うな。結婚するんでしょ?勢いでも覚悟決めたのなら、そう言う事は相談しないとダメ。だだでさえ浅い付き合いで結婚するんだから、信頼関係を気付くために言ってみなよ?華子の話を聞く限り、社長は適当に流す人じゃないと思うし」
「そう、かな?」
確かに社長は私が落ち込んでいると声を掛けて心配してくれる。
星だって見に連れて行ってくれた。それでいて察しがいい。話したくないことは詮索しない。腕の傷の事も、志田さんに怒られていた時も。
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