王子様とハナコさんと鼓星


「凛太朗さんは、完璧ですよ」

「全然。掃除が苦手だから」

「でも、他のところが完璧です。本当に、私なんかと結婚して良かったのか…」


「こら、よろしくって挨拶したばかりだよ」

「あ、ごめんなさい…」

握った手を離して、その手で頭を撫でハンドル戻す。


「そう言えば、明日って華子の元彼に会って欲しいとか言っていたね。待ち合わせする?俺が帰ってから一緒に行く?」

「は、はい。バーナってカフェ知っていますか?」

「確か、駅前のだよね?そんな名前のカフェを見たことがある」

「はい。そこで、待っていていいですか?」

「いいよ。会社出るとき電話するね」


そうだ。明日は聡くんに会わないといけない日でもある。凛太朗さんが来てくれる事になったのは良かったけど、聡くんとの間に起きたことは話していない。

あまり、話したくない事でもある。だから、聡くんが余計な事を言わない事を願わないと。


その後は、まだ仕事が残っていると凛太朗さんは私を寮まで送り届けて会社に戻って行った。


私はというと、部屋に戻り荷物の整理をして、なるべく物音を立てないように21時頃まで使った部屋の掃除をおこなった。

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