王子様とハナコさんと鼓星
「うん。やっぱり、華子を選んで良かったよ。星の話をして、そういう反応をしてくれる人はいなかったから」
「そうなんですか?」
「ほら、老後の話をした時も冗談でしょ?とか、田舎なんてイヤだとか、言われたって言ったよね?星を見に行こうかって誘った時も星より夜景の綺麗な場所でご飯を食べてはなしたいって。あと、ただの光りだとか、未確認飛行物体の話をした時は「そんなものはいません」ってバッサリ切られたよ」
「ふふ。私は星に詳しくないですけど、見るのは好きですよ。未確認飛行物体に関しては何とも言えませんけど…信じてはいます」
「いいね。老後、華子と見れたらいいな」
「は、はい…」
その時になった時、私達の関係はどうなっているんだろうな。
その後、他愛もない話を続け15分ほど歩いた所で聡くんと再会した場所に到着出来た。
聡くんはまだいないみたい。少しホッとして凛太朗さんと並んでベンチに腰を下ろす。手は今だ繋いだまま。人が次々と目の前を横切るのを見ているとある事を思いだし、隣りの彼に視線を向けた。
「そう言えば、退寮する際に寮母さんからご祝儀とマグカップを頂きました」
「そう。後でお礼をしないとね」
「はい。オシャレなマグカップでしたので、家に戻ったら何か飲みましょう。あと、勝手にキッチンを見てしまいました」
「何もないでしょ?料理は滅多にしないから」
「は、はい。帰りにスーパーによりませんか?私が凛太朗さんに対してしてあげられる事は…今は料理とか掃除しか思い浮かばなくて、下手ですけど頑張りたくて」
そんなのいいよ。なんて、言われるかもしれない。でも、すぐに出来るこの2つだけはやりたい。
.