王子様とハナコさんと鼓星
「日中は仕事で家にいないから、家にいる時はかまってあげないとね」
「何歳なんですか?」
「まだ2歳だよ。ちなみに男の子」
「あら…」
「可愛いんだよ。夜はベットの中に忍び込んでくる」
寝ているゲンマを抱き上げ、頬に寄せて抱けばまた目を細めて手足を伸ばす。
かわいい。猫って飼った事がないからこんな風になるの初めて見た。
さ、触りたい。でも、慣れてないうちは我慢しないと。じっとゲンマを見つめると、凛太朗さんが手を伸ばして私の髪の毛に触れた。
指先に絡めくるくると回し顔を覗き込まれ、目と目が合う。
「あと30分で24時を過ぎちゃうね」
「え?あ、そうですね…」
「お姫様はそろそろ部屋に戻って寝たほうがいいかもしれないね」
「…え?」
どういう意味?首を右側に向けると、凛太朗さんはゲンマを下ろして私に近付いた。