王子様とハナコさんと鼓星


支配人も副支配人も結婚に大歓迎してくれて良かった。

凛太朗さんの周りの人って、誰に会っても結婚をおめでとうって言ってくれる。それは凛太朗さんのご両親も同じ。


皆んな物凄くいい人で良かった。


数分後、トイレに到着すると看板を出す。自前のピンクの手袋をはめて掃除用具を取り出すと、今度は一ノ瀬くんが声を掛けて来る。

「華子さん、おはよう」

「一ノ瀬くん!久しぶり。この間はありがとう」

「うん。桜から聞いたんだけど…結局結婚したんだってね。おめでとう」


「ありがとう。びっくりだよね、こんな事になって」

「まぁ、華子さん達みたいな結婚もいいと思うけど。退寮もしたんだって?」


「そうなの。昨日から一緒に住んでます」


楽しい?って、支配人と同じように聞かれるかな。本音は楽しいと言うより緊張している。凛太朗さんは口数多く話を振ってくれるから気まずいような事はないけど…


やっぱり付き合っていなかったぶん、凛太朗さんにまだなれない。特にスキンシップ。会話をするだけなら全然平気なのに。
< 162 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop