王子様とハナコさんと鼓星
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「うん、美味しい」
カレーを口にすると凛太朗さんは開口一番に美味しそうと呟き、満面笑みで私にそう呟いた。
「本当ですか?良かったです」
「本当だよ。ちょうといい甘さだね。肉も柔らかい。野菜も大きめに切ってあって食べ応えがある。料理苦手って言っていたけど、上手だと思うよ」
「カレーだけは得意なんです」
「そうなんだ。このサラダも美味しいよ」
「それはレシピを検索して作りました」
「上手。週に数回は食べたいくらい」
「ありがとうございます」
(良かった。美味しいって言ってくれて…と、言うか褒め過ぎ)
食べ進める彼を前に私もスプーンを手に口に運ぶ。
「美味しい料理が食べられて幸せだよ。あ、そうだ。華子って次の休みはいつ?」
「確か、明後日ですね」
「明後日か。なら午後から出掛けない?」
突然の提案に食べる手を止める。
「もしかして先約とかあった?」
「い、いえ」
「何処か行きたいとかある?」
「それなら、実は見たい映画があるんです。どうですか?」
実は明後日公開の洋画がある。テレビのCMで予告を見て気になっていた。
「いいよ。午前は仕事があるから終わり次第になるけど、家で待ってて」
「はい」
嬉しい。楽しみかも。1人で映画に行く事が出来なくて諦めていた。桜は仕事が忙しいから声を掛けにくいから。