王子様とハナコさんと鼓星
第7章 The blossoms are out.
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「はぁっ…はぁっ…」
リビングのキッチンで1度大惨事になった後、凛太朗さんはフラフラとトイレに向かいかれこれ30分も悲惨な事になっていた。
俺の事は気にしないで。と、言われたものそんな事は出来なくて、拒否されるの覚悟でタオルを持って一緒にトイレに入り凛太朗さんの大きな背中を撫でる。
呼吸を大きく吸って、大きく吐く。時折身体を震わせまたトイレに伏せる。苦しそうな彼を前に背中を撫でる事しか出来なくて心苦しい。
ずっと長い間会話をする事なく摩っていれば、暫く経過してから凛太朗さんは私が持ってきたタオルで口元を拭くと顔だけを向けて来た。
「なんか、ごめん…」
「大丈夫ですよ。少しは楽になりましたか?」
先ほどより、顔色が良いみたい。
「うん…」
顔を戻し、落ち着いて来たのか壁に寄り掛かり片脚を立てその足に肘を乗せた。
「なんか、久しぶりに飲み過ぎた。助かった」
「ふふ、大丈夫です。寮でよく友人が飲み過ぎて介抱していたので慣れています。あ、ウェットティッシュ持って来ますね」
リビングに戻りウェットティッシュを持って凛太朗さんの元に戻る。取りやすいように開けて差し出すと、それを1枚取って口周りや手を拭く。