王子様とハナコさんと鼓星


『ねぇ、華子?この男だれ?』

やり直すと決めてから、途端に聡くんは私を束縛するようになった。毎日、朝の7時から夜の23時までに1時間ごとにメール。

男の子の連絡先は全て削除と着信拒否。話すことも禁止。2人で会うなんてもってのほか。


3日に一度は聡くんの部屋を訪れ、他の人に手を出されていないか確かめられる日々が続いた。

拒否した事もある。でも、拒否すると彼は荒れ狂ったように怒鳴り散らし、物を投げ付ける。


出会ったばかりの彼とは想像もつかない変わりようにやっぱり怖くなり別れを切り出せば、俺が嫌いなの?華子に捨てられたら…もうこの世にいる意味なんてない。俺は華子が大好きで、不安なんだ。わかってくれ。


子供みたいに泣きじゃくり、縋り付く。

そんな彼をかわいそうだと思い、次第に何とかしてあげたいと思った。


だから、彼を拒否するのも、否定する事もやめて全て聡くんの言うことを受け入れた。
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