王子様とハナコさんと鼓星
高校を卒業後、地元からバスで30分ほど離れた2年生の情報系の専門学校に入学。
人並みの成績で卒業したのち、地元の中小企業に事務員として就職した。朝の8時に出勤して17時には退社。残業は一切なしの土日休み。
地元に友人も多く、休みの日には飲み歩いたり旅行に行き、趣味を楽しむ。そう、至って普通の人生を過ごしていた。
それが続くと思っていたし、それでそのうち結婚して寿退社。子供は3人いて手がかからなくなったらまた働きたい。
そんな未来予想図を描いていた5年目になるはずだった春。
突如、社長が従業員を会議室に集め、2ヶ月後に倒産する事を告げられてしまった。
初めのうちはショックを受けた。が、倒産にあたって事務仕事が増え、書類などの消去や手続きで慌ただしくショックを引きずる間も無く2ヶ月が過ぎた。
就職活動の時間も気力もなく、やっとの事で重い腰を上げたのはその1ヶ月後。
けれども再就職しても辞め、また就職しても辞めるといっただらしない事を3回繰り返した。そんな生活を送っていた時のこと。
高校時代の友人と久しぶりに地元で再会した事がホテルに再就職出来たきっかけだった。