王子様とハナコさんと鼓星


「そっか。嬉しいよ」

「あの、なんでこんな私のことを…」

凛太朗さんに比べて、私なんて大した魅力なんてない。


「なんでって、あの時トイレで告白した通りだけど。あ、でも…あの告白に付け加えるなら、初めてここでご飯を食べた時に実はかなりの衝撃を受けたんだよね」


「す、すみません。いい店とか…全然分からなくて…」

「いや、この店に連れて来られてさ、数百円の食べ物を俺と食べるものに選ぶなんて…なんて女だって思ったよ。その前にも、ほら、俺を客だと間違えたりさ」

「その事は、謝っても謝りきれません」

「いいんだよ。その時の印象は面白い子で失礼な子だなって思ったのが本音。そして、見かけてからかうとあからさまに迷惑って雰囲気を出してくるから面白い子になった。そして、このお店で、俺の周りにはいないタイプに変わって…星を見た時…華子が欲しいって思った」


絡めた手を離して、今度はそっと包み込むようににぎる。

「運良く付け入る隙を見つけて結婚。了承してくれた時は華子の前では冷静な態度でいたけど、内心かなり嬉しかったから。それで、前に言った通り…華子を知っていくうちに好きになりました」


頬を上げ、微笑みをむけられる。

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