王子様とハナコさんと鼓星
「凛太朗さん…」
「もう、いいかな?早く部屋に」
「ま、待って下さい…今日こそは…お風呂に入ってから…」
ここまで来て、何を言うんだ。そう言いたそうな顔で凛太朗さんは私を見下ろす。
だって、昨日はお風呂に入れなかった。今日こそは、きちんとお風呂に入ってから身体を重ねたい。
そう懇願すれば、凛太朗さんは私から身体を離す。
「わかった。いいよ…なんか、盛ってるみたいでカッコ悪かったね。ゆっくり入って来て。楽しみにしてるから」
「は、はい…」
何が楽しみなの?そう問いたい気持ちをおさえ、私はお風呂場に直行した。
その後からは長いようで短い夜だった。
同じ寝具に入ったのは、夜の23時。昨日の触れ方も優しく、丁寧だったけど…今日は昨日より何倍も優しい。
衣服を脱がせる時から凛太朗さんは何度も私に好きだと繰り返し囁く。至る所に口付けを落として、触れて、探って、とろとろに溶かされる。
素肌と素肌を介して感じる凛太朗さんの熱は私の中の熱をどんどんと上げていく。
長く、ゆっくり、時間をかけて何度も身体を重ねた。何度も、何度も。
飽きるほど長く繋がっていたのに、それでもお互い足りなくて…時間を忘れて、重ねて、触れて、少し休んで、また重ねるを繰り返した。