王子様とハナコさんと鼓星
「私に、運命感じたってこと?」
「そう言うパターンがない事もないって事。結局さ、ここで話しても華子さんにそんな事を言った社長の真意なんて聞かないと分からない。悩むなら明日聞いてみれば?それを聞いたら、きちんと返事をしないと。人としてうやむやにするのは良くない」
「一ノ瀬くんって大人ね…年下なのに」
「そういう先入観よくないよ、華子さん。だから、社長が本気で来ても遊ばれているって先入観で拒否しちゃうんだよ。相手に利益がないから遊びとか考えないでしょ。手を出されたわけでもないのに。桜といい勝負してるわ」
小さく短い息を吐いて隣の桜を仰いだ。その鋭い視線を桜は受け流してオレンジジュースを飲む。
「なに、それ、どういう事?」
「告白した時、俺が年下だから大人の女に憧れてるなら他を当たれって。若い男なんてやりたいだけでしょ?って言われた」
「そうなの?そんなの聞いてないよ」
「だ、だって…まぁ、いいじゃん!今はこうやって仲良くしてるんだからね?」
手を伸ばして一ノ瀬くんの肩叩く。笑いながら言う桜を少し冷めた目で見た後にゴホンとわざとらしく咳払いをする。
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