王子様とハナコさんと鼓星


結局、暫くその場から動くことは出来なかった。ただ、呆然と座っていて、ハッと我に返ったのは7時10分にセットしたアラームの音だった。


髪の毛を洗い顔を洗う。ヒリヒリする肌は洗うのをやめてお風呂を出た。


冷蔵庫に残ったヨーグルトを食べ、化粧をして着替える。そうしているうちに寮を出る時間になり電気を全て消し鍵をかけて部屋を出た。


歩いて20分ほど、従業員用の駐車場を通り裏玄関を通り過ぎて従業員用入り口につく。


セキュリティを解除して中にはいる。更衣室に入り、多部署のスタッフと挨拶を交わして作業着に着替えた。


鏡で自分の姿をみると、まだ少しは目元が赤い。化粧で隠そうとしたけれど、ヒリヒリするため控えめ。


帽子を深く被り、ミーティング室に行けば数人がすでに主任を待っていた。


騒がしい雑談に加わるわけでもなく、置かれたパイプ椅子に腰をおろしていれば10分ほどで主任と志田さんが入って来る。


1日のミーティングを行い、終わるなり早々と各自担当の場所に移動する。人の流れにそって部屋を出ると私はトイレ用具のある倉庫に向かった。

ドアを開け台車に掃除用具を乗せ、エレベーターに乗り込む。2階のボタンを押して到着するまで壁に寄りかかる。

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