王子様とハナコさんと鼓星


その日の業務終了後、関さんが辞めた事で全体ミーティングが行われた。


関さんが抜けた穴をどうすると言った話題だったが、それはほんの5分ほどで終わった。あとは、ひたすら関さんに対する悪口。



「でも、本当に辞めてくれて良かったじゃん。ね?志田さん」


「本当よ。あんな人、必要なかったもの」

同じように悪口に加担する人もいれば、ずっと笑っている人。それを硬い表情を浮かべて頷いているだけの人。暫くその中にいたが、だんだんと盛り上がって来る悪口に頭が痛くなった。



くだらないな。そう思い、私は鞄を手にミーティング室を出た。


お昼が明けてから、清掃中、今度はずっと関さんの事を考えていた。

羨ましいという気持ちは変わらない。今のミーティングで更にそうおもった。

人の悪口ばかり。一緒に働く人を罵倒してなになるんだろうな。


さっさと寮に帰ろう。この人たちといたくないし。そう思い出口に急いで向かうと背後から大きな声が響いた。


「村瀬さん!!」

振り返るとそこには顔を真っ赤に染めた志田さんと主任の姿。

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