王子様とハナコさんと鼓星
頭を抱えるように触ると、目の前にいる社長が微笑んだ。
「賭けてみない?俺が、村瀬さんの抱える壁をぶち壊せるか。ぶち壊せる自信がある俺に賭けてみない?」
「….…何言って」
「あと、こんな結婚だけど、もう1つ自信がある事がある。そのうちに、結婚して良かったって思わせる自信がある」
「随分と、自信過剰ですね」
「自信がないと今の立場なんて出来ないよ。ねぇ、もっと違う世界を見てみたくない?自分を変えてみない?嫌な場所から脱出するためには動くしかないんだよ。悪いけど、あの2人を左遷したとしてもあの2人の意思を継ぐものが次に客室清掃部を支配するだろうね。そうなる前に、俺と結婚して逃げようよ。俺の奥さんになれば、違う部署に異動させてあげるよ?明日にでも」
「それ、職権乱用ですよ」
「職権乱用、上等だね」
なんか、社長と話していると気が抜けてくる。スケールが大きすぎる。でも、自信満々な社長を少し羨ましいとも思える。
どうしたら、この人みたいに自信が持てるのかな?どうしたら、この人のように、桜のように間違いを間違いだと言えるのかな?
どうしたら、この人と同じように、気持ちを上手く伝えられるのかな?
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