優しいさよなら


笑うと綺麗な直線になる切れ長の瞳、すっと通った鼻筋、サラサラの黒髪。

カテゴリーで分けるなら間違いなくイケメンに入る。



大好き。

ほぼ一目惚れ。



けれど。


どこにでもいるような何もかもが平均値のわたしには高嶺の花。



こんな、同じベッドにいるなんて多分奇跡。



高山くんの胸につけられた額を離し、少し上を向いてシュッとした顎のラインを見つめる。


髭、薄いよね。




1年かけて、やっと馴染んだ温もりを手放す時はもう目の前。



大丈夫。



ごねたり、我儘言ったり、絶対しないから。



完全には繋げなかった手はすぐに離せるよ。



きっと。
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