優しいさよなら
「アホちゃう!?飽きるわけないやん!わたしがどんなに高山くんが好きか知らないクセに!何なん!?どうしてそんな言葉が出てくるのかわからへん!」
ぐしゃりと周りの景色が歪む。
投げるクッションがなくなったので床の座布団を取ろうとしたら高山くんに両手首を掴まれた。
膝立ちになった高山くんがソファーに座るわたしと目線を合わせる。
「だったらちゃんと傍にいろよ!勝手にいなくなるなよ!お前こそオレがお前のことどんなに好きか分かってない!」
真っ直ぐに、高山くんがわたしを睨みつけた。
両手が動かないので溢れる涙が頬を伝い、顎先からぱたぱたと幾筋も落ちる。
不意に拘束が解け、涙を少し雑に手のひらで拭われた。
「佐喜子さん、帰ってきはったのに・・・何でそんなこと言うの・・・」
「・・・佐喜子?」
「付き合ってるクセに・・・淋しさを紛らわすだけのわたしなんてもう要らないでしょ」
「何言ってんだ?お前の中でオレは二股するような最低男かよ!?」