優しいさよなら


「淋しい、辛いって言うたでしょ!最初のとき」


「ああ、淋しかったよ、辛かったよ!お前に好きな男がいるって聞いたからな」


「佐喜子さん・・・」


「佐喜子とは就職してすぐに終わってる!そもそも何でオレと佐喜子のこと知ってるんだ」



「・・・・・・女の勘」



覗き見したとは言えない。



はあーっと高山くんが息を吐き、床に座りこんで私の膝に顔を伏せた。



「・・・・・・オレ、どうしようもなくお前が好きなんだよ」



初めて見る高山くんの情けない姿。


佐喜子さんと終わってるって本当?


膝に顔を埋めて、わたしを好きだと言うあなたのことを信じてもいいの?



「たかや・・・」



勢いよく高山くんが顔を上げる。



「えっ!?きゃっーー・・・」



ソファーから引きずられるように降ろされ、高山くんの腰を跨ぐように身体の上に乗せられた。


後頭部を引き寄せられて何度も啄むようなキスをされる。


甘い痺れが身体中に走って、力が抜けた。


くたりと身体を高山くんに預ける。


「千紗」


ぶわりとまた涙が盛り上がった。


「お前の好きなヤツってオレでいいんだな」


コクリと首を縦に振る。




「・・・良かったーーー」




わたしに回された腕に力が入り、ぎゅうぎゅうと、まるで逃がさないと言うように抱きしめられた。

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