優しいさよなら
カノジョ・・・居ないわけないやんか・・・。
2人が同じ大学、同じサークルだったと聞いたのは部内の何度目の飲み会だっただろうか。
中学までを海外で過ごしたという佐喜子さんは、英語とドイツ語が堪能。二重まぶたのくっきりした意志の強そうな瞳のせいで気が強そうに見えるのに、明るくて優しい。
付き合っているのは会社では内緒にしていたけれど、2人のちょっとした視線のやり取りや、会話の端っこに、好きあっている気配を感じてしまう自分が嫌だった。
最初から不毛な恋だった。
叶うはずのない恋だった。
分かっていたのに諦められなかったわたしが愚かだったのだ。