元社長令嬢は御曹司の家政婦
―――さらに一週間後。

クレジットカードが全て使用停止になっただけでなく、ついには現金も底をつきた。
荒れ果てた部屋、たまった洗濯物。
言い寄ってきてた男も友人も全滅、誰も頼れない。

ひどい惨状に、私はベッドの上で頭をかかえた。

このままじゃ、私は終わりよ。
明日からの家政婦代と、美容代はどうすればいいの?
お金がなければ、綺麗に手入れされたネイルも、ゆるく巻かれたロングヘアも維持できない。


そうよ、お金......、お金さえあれば。
お金があれば、こんなに惨めな思いはしなくてすんだのよ。

お金があった頃は家族も仲が良かった。
どこにいってもちやほやされて、男たちはみんな私を振り返り、女たちは私を羨ましがった。

お金がなくなったとたんに、両親からは捨てられ、そして手のひらを返したように、男も女も冷たくなった。


まさに、金の切れ目が縁の切れ目。
お金がなければ何もできない。
金持ちは絶対的勝者で、貧乏人は絶対的敗者。
いくら綺麗事をいわれたところで、それが真実であると身を持って知ってしまった。

お金、金、金......。
お金さえあれば......。

分かりたくもなかったけど、お金のために罪を犯す犯罪者の気持ちが分かったような気がする。こうなったらいっそ......いえ、やっぱりそれはダメ。いくら財産も社長令嬢の肩書きさえも失っても、プライドだけは失わない。

......でも、本当に明日からどうすれば......。


何をやっても全てが八方塞がりで、何の突破口を見つけることもできないまま、その晩は眠りについた。


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