元社長令嬢は御曹司の家政婦
「どうしたの?遅かったわね......って、何よ?それ?」


ずぶ濡れというほどではないけど、髪の毛もスーツもしっとりと濡れている秋人に近づくと、手にふわふわした白いものを持っていて、それを指差す。

もしかして、......もしかしなくても、秋人が持ってるのは、猫?


「猫だ」

「それは見れば分かるけど、どうしてそんなもの持ってるのよ?」


タオルにくるまれた小さな猫をじっと見つめると、一瞬目があっただけで、鳴き声をあげることもなく猫はじっとしている。

特にケガはしてないみたいだけど、ずいぶん元気がないみたい。


「帰り道にうずくまっているのを見つけたから、動物病院によってきた。特にケガはしてないようだが、だいぶ衰弱してるみたいだ」

「事情は分かったけど、どうしてうちに連れて帰ってきたのよ?まさか飼うつもりじゃないわよね?」


片手に猫、片手にカバンを抱えながら、リビングに歩いていく秋人についていく。
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