元社長令嬢は御曹司の家政婦
家に帰る前に少し歩かないか、と秋人から誘われて、夜景のきれいな場所で車から下りる。
メインのスポットからだいぶ離れているからか辺りにいる人はちらほらだけど、夜景は綺麗で、少し冷えた風が心地良い。
「めずらしいわね。散歩しようなんて」
そういえば仕事が忙しくて、散歩どころか、デートすらもしたことなかった。
実家に挨拶に行くためにきっちりとしたワンピースを着てきた私同様に、かしこまったスーツを着こんでいる秋人の横顔を見つめる。
「たまにはいいだろう」
「もちろんいいけど」
嫌だとかじゃなくて、わざわざ散歩しようなんてめずらしいって意味で言ったんだけど、あっさりと流されてそれ以上追及することもできなくなった。
それから、たわいないことを話しながらゆっくりと歩いていたけれど、急に秋人が足を止めた。
「そういえば、結婚しようと思った理由を言ってなかったな」
「え?私が婚約者だって取引先の人に嘘ついたからじゃないの?」
「それはきっかけで、結婚しようと決めていたのはもっと前だ」
「前って?」
いきなり散歩しようと言い出したかと思えば、今度は何の脈絡もなくそんな話?
相変わらずいまいちつかめなかったけど、とりあえず話を聞いておく。
メインのスポットからだいぶ離れているからか辺りにいる人はちらほらだけど、夜景は綺麗で、少し冷えた風が心地良い。
「めずらしいわね。散歩しようなんて」
そういえば仕事が忙しくて、散歩どころか、デートすらもしたことなかった。
実家に挨拶に行くためにきっちりとしたワンピースを着てきた私同様に、かしこまったスーツを着こんでいる秋人の横顔を見つめる。
「たまにはいいだろう」
「もちろんいいけど」
嫌だとかじゃなくて、わざわざ散歩しようなんてめずらしいって意味で言ったんだけど、あっさりと流されてそれ以上追及することもできなくなった。
それから、たわいないことを話しながらゆっくりと歩いていたけれど、急に秋人が足を止めた。
「そういえば、結婚しようと思った理由を言ってなかったな」
「え?私が婚約者だって取引先の人に嘘ついたからじゃないの?」
「それはきっかけで、結婚しようと決めていたのはもっと前だ」
「前って?」
いきなり散歩しようと言い出したかと思えば、今度は何の脈絡もなくそんな話?
相変わらずいまいちつかめなかったけど、とりあえず話を聞いておく。