図書室の吉野君
吉野君の体には、向こう側の本の背表紙がはっきりと写っているのだ。


まるで、彼がそこにいないかのように。


「え?僕が死んで、幽霊になって、図書室にいついているからだよ。」


けろっと、ためらうことを知らず、吉野君は言った。


「ゆう、れい?」


物語によく出てくる、魂だけの存在。



あの、幽霊?


「そ。ゆうれい。」


そして、彼は空中に浮いた。


幽霊らしく。


「ここの本、大体読みつくして、暇になったから、小鳩ちゃんに声をかけたの。」
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