図書室の吉野君
ぽとぽと、涙がこぼれた。


「「大丈夫?」」


吉野君の声と、誰かの声が重なった。


「早瀬(はやせ)さん、どうしたの?」


クラスメートの、菱沼奈木(ひしぬまなぎ)さんだった。


「ううん。何でもない。」


すっかり忘れてた。


ここが、図書室で、人がいるということを。


「ひとりごと、言ってたから。どうしたのかなぁって。」


「本当に、何でもないの。ごめんね。」


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