Dangerous boy
私、今日一日で、いろんな部長の顔を見ている。

厳しい上司としての顔。

優しい先輩としての顔。

悪戯好きなやんちゃな顔。


でも、部長はどうして私に、そんな表情を見せてくれるんですか?


「有難うございます。嬉しいです、こんなお洒落なお店に、連れて来て貰えて。」

「そうか?君が嬉しいなら、俺も嬉しいよ。」

部長の笑顔は、お日様みたいに温かい。

「でも、どうして……私なんですか?」

部長の喉が、ゴクンっと鳴った。


「あっ、いえ……部長だったら、もっと大人の綺麗なお姉さんと、こういう場所に来れるのになぁって……」

すると部長は、やけに緊張した顔を見せた。

「……そんな事、ないよ。」

「部長?」

「大人の綺麗なお姉さんと来ても、好きな人じゃなければ意味ないと、俺は思うけれどな。」

部長に見つめられて、首元がくすぐったい。

「倉本。今日俺が誘ったのは、その……」
< 10 / 171 >

この作品をシェア

pagetop