Dangerous boy
第5章 生い立ち
オフィスに着き、自分の席に座ると、環奈と部長が立ち話をしているのが見えた。

環奈は、部長を見ながら、時々笑っている。

部長を狙おうかなと言っていた環奈。

もしかしたら二人は、本当に付き合うのかもしれない。


そんな事を、茫然と考えていた時だ。

「おはよう、心。」

「おはよう、環奈。」

環奈が、私の席に来た。


「おおっ!」

環奈は私の顔を覗き込むと、楽しそうに声をあげた。

「心、なんだか肌艶がいいね。さては、一線超えたな。」

尚太君と楽しい時間を過ごした今は、環奈のそんな話も、聞き流す事ができる。

「あれ?否定しないの?」

それなのに、逆に環奈の方が、反応している。


「否定って……付き合ってるんだもん。そういう事もあるでしょ。」

環奈は、笑いながら私を指で突いた。

「もう!ご馳走様。」

頬が、自然に上がる。

知らずに、微笑んでいる証拠だ。
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