Dangerous boy
「そうだな。尚太も心ちゃんがいれば、心強いだろうしな。」

「……はい。」

私が無理に笑った時だ。


手術室のオペ中の赤いランプが、パッと消えた。

「あっ、終わったみ……」

その時、私の手から尚太君の手が離れ、目の前には立ち上がった尚太君が見えた。

しかも、中から出てきた先生に、一番最初に飛びついたのは、小暮さんではなく、尚太君だった。

「先生!あの……母の容態は?」

初めて、”母”と言った尚太君に、小暮さんも驚いている。


「手術は成功しました。ただ……」

「ただ?」

小暮さんも、先生に近づいた。

「下半身の損傷が激しいので、また歩けるようになるかどうかは、分からない状態です。」

私は、口を両手で覆った。

それって、一生車いすって事!?


「どうにかならないんですか?先生!」

尚太君は、先生に迫った。

「おい、尚太!」
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