Dangerous boy
「いえ。部長のせいじゃないです。」

私が勝手に、ぼうっとしていたせいなのに。

なおに、部長は……


「俺のせいに、させてくれよ。」

あの優しい先輩の顔で、私に囁く。

「俺のせいで、こんなミスするお前の顔、癖になりそうだ。」

「えっ?」

私は心なしか、体を引く。


「ウソだよ。返事は急がないから、そんなに真剣に悩むな。」

「部長……」

私の心が軽くなるように、そんなセリフ、言ってくれるなんて。

「ある日、突然。俺と付き合ってもいいなって思ったら、その時教えてくれよ。」

”はい”って言えない。

そんな軽く考えるなんて、部長に失礼だ。


「じゃ、頼むよ。」

高藤部長は自分の分を切り終わって、席に戻って行ってしまった。

後には、半分残っているミスプリントの山と、ため息をつく私。


その時、お客様スペースに、環奈が入ってきた。

「ねえ、ねえ。どういう事?」
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