Dangerous boy
環奈はニヤニヤしながら、部長が座っていた席に座った。

「高藤部長と、二人仲良く雑用って。絶対部長は、心と二人きりになりたくて、私を席に戻したよね。」

「そんな事ないよ。」

まだ付き合ってもいないのに、そんな噂が流れたら、高藤部長だって困る。


「そうなの?なーんだ。」

環奈はつまらなそうに、頬杖をついた。

「でも、部長は心の事、好きだよね。」

私は返事をしなかった。

「その内、二人で会おうって、誘われたりしてね。」

そう言えば私はまだ環奈に、この前部長と二人でデートした事も、付き合ってほしいって言われた事も、話していない。


「ねえ、心はどうなの?部長の事、どう思ってるの?」

「責任感が強くて、皆の憧れのリーダーだと思う。」

「それだけ?」

「それだけ。」

私はわざと、環奈に嘘をついた。


別に環奈が、悪いわけじゃない。

私が、心の中でモヤモヤしたモノを持っていたからだった。
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