Dangerous boy
「いえ……」

初めて来るお店に、少し緊張した。

私と部長は、一番奥の席に座った。


「いらっしゃいませ。」

コースターを置いてくれた店員さんを見て、私は少し驚く。

まだ大学生のような、あどけない顔。

それなのに、どこか色気があって、引き付けられる。

特に、その寂しそうな切れ長の目に……

その時、ふとその店員さんと、目が合った。


やばい。

私が見ていた事、バレた?

けれど店員さんは、何もなかったかのように、注文をとった。

「飲み物は、何にしますか?」

「そうだな、俺はジンライムを貰おうか。倉本は?」

「えっと……じゃあ、スクリュードライバーお願いします。」

「畏まりました。」


ここでもお子様みたいなカクテルを頼んだのに、部長は何も言わない。

「ここはね、カクテルが一番美味しい店なんだよ。」

「そうなんですか?」

カクテルの美味しい店って、カクテルはどこでも、作り方は一緒なんじゃないの?
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