Dangerous boy
ちょっとした疑問を持った私の目に、信じられないモノが映った。

さっきの若い店員さんが、カクテルを作っているのだ。

「あなたが……作るの?」

私の質問に気づいた店員さんは、ちらっと私を見た。

「ええ。私が、この店のバーテンダーですから。」


バーテンダー……

この人が……


「はい、どうぞ。ジンライムと、スクリュードライバーでございます。」

目の前に置かれたカクテルは、さっきのお店のカクテルよりも、色鮮やかだった。

「一口飲んでみて。」

私は部長の言うままに、その鮮やかなカクテルを、少しだけ口に含んだ。

甘い、とろけるような味が、口いっぱいに広がる。

「美味しい……」

「だろう?」

部長は悪戯っぽく、私の顔を覗き込んだ。


「さっきのお店で、君がカクテル頼んだ時に、この店に連れて来たいって思ったんだ。」

そう言って笑った部長は、やんちゃな男の子みたいに見えた。
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