東の空の星は、見た
―――――ねえ かあさん。

 あの大きなおほしさまは、 なんという名前なの。


 小さな指の そのさきに


 白く輝く 大きな光。


 星は、ゆっくりと 顔をかしげて、光をみつめる。


―――――あれはね。星ではなくて、飛行機なのよ。

  遠くの空から、わたしたちを見ている飛行機なのよ。





 母親の顔が、かげる。

 
 まだ幼い少年は、よくわからない、というように、母親を見つめる。

 
 大きな、曇りのない瞳で。


 母親が、笑う。 少年は、その笑みに、陰りがあるのに、気づかない。

 
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