年上のアナタと大人の恋ができたなら
●encounter

「うーん浮かばない」
コーヒー片手にスケッチブックを睨む

ここは桐生商事ビル1Fにあるコーヒーショップ
そのお店でデッサンをしている私は国府田美月

何故桐生商事なのかというと親友の柚樹がここで受付嬢をしているからだ
そして私が働いているお店は駅を挟んだ反対側にある
割と近いので休憩時間や仕事が休みの時にちょくちょくやってくる

そして休みの今日も来ているが柚樹は仕事だ
休みが中々合わないけどこうやって顔を見ることはできる
通い慣れたこのお店は結構お気に入りなので出掛けついでに訪れている

建物内に入り受付の柚樹に手を振ると小さく振りかえしてくれた
私はお店に入るといつものコーヒーをオーダーし席につく

カバンからスケッチブックを出して
コーヒーを飲みながらデッサンするのがここでの楽しみ
今日もいつものようにデッサンをしているのだが
今日に限ってデザインが浮かばずに最初のひと言が発せられるという

「今日はダメかな?」

そう思っていると私の目にスリーピースを着た男性の胸元が目に飛び込んできた
ダークネイビーに薄い縦じまの入ったスーツ
サックスブルーのシャツにブルーのネクタイ
全体的にブルーな色合いにネクタイピンもブルーを模したものになっている
ふとアタマに海が浮かびスケッチを始める

「それ俺のネクタイデザインしてくれてるの?」
と声がしたので顔を上げるとそのスリーピースの男性と目があった


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