年上のアナタと大人の恋ができたなら
「そっか」と柔らかく微笑んだ、その笑顔にちょっとときめいてしまった
慎ちゃんってこんなカッコよかったっけ?と少しどきどき
「どうした?」
「ううん何でもない」と目の前で手を振ると私の手を見た慎ちゃんの顔が強張った
「美月それ」と私の左手の薬指を指す
「ひょっとして」
「うん婚約したの」と言うと目を見開いていた
「相手は?」と急に怖い顔をする慎ちゃん
「普通の会社員だよ何で?」と慎ちゃんに腕を引っ張られて歩きだした
「慎ちゃん!?」
「ちょっとこっち」と言いずんずん歩いていく
まわりを伺いやってきたのは会場の隅にあった休憩スペース
そこにこしかけると
「いつ婚約したの?」
「最近だよ、どうして?」
「何で」
「何でって?」
「俺お前のこと好きだった
でも美月は俺のこと幼馴染としてしか見てなかった
時間をかけて美月の気持ちを振り向かせる気で今日まで頑張ってきた
大学卒業して社会人になって改めて美月に告白しようと思ってたのに
何で他の奴と婚約したんだよ」
「何でって好きだから婚約したの、彼を愛してるから
なのに何でそんな言われ方しなくちゃいけないの?
確かに慎ちゃんの気持ちには答えられなかった、それは申し訳ないと思ってる
だけど婚約したことを何でそんな風に言われなくちゃいけないの?」